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城廻めぐり「やっ、久しぶりだね」八幡「……どもっす」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:06:25 ID:KGebGyjO0
めぐり「と言っても、まだそんな経ってないかー。文実では毎日会ってたから、なんかね。今帰り?」

八幡「あ、いや……部活に」

めぐり「へ~。君、部活やってたんだぁ。何部かな?」

八幡「……んと、奉仕部ってとこなんですけど」

めぐり「ああ、平塚先生が顧問のところだね」

八幡「……知ってるんですか?」

めぐり「一応ね。生徒会長ですから! まあ、もうあとちょっとなんだけどね」

八幡「ああ……そういやもうすぐ生徒会長選挙あるんでしたっけ?」

めぐり「あはは、君はそういうの興味なさそうだね」

八幡(……なんだ? やけに親しげじゃね? 文実でのこと、もう忘れたのか……?)
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:09:17 ID:KGebGyjO0

八幡「そっすね。……んと、じゃあこれで」

めぐり「そういえば生徒会選挙、雪ノ下さんは出ないのかな? 彼女が後を継いでくれたら安心なんだけどな~」

八幡「…………はあ」

八幡(あの文実の後でやりたがる奴なんていないだろ……)

八幡「…………あいつは、そういうのはやらないと思いますよ」

めぐり「そうかな? 文実でもすごかったし、雪ノ下さんならぴったりだと思ったんだけど」


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:11:09 ID:KGebGyjO0

八幡「あいつはそういうので出しゃばらないというか……実は向いてないんだと思いますよ」

八幡「有能なんでやらせればこなしちゃうんですけどね。あと人の上に立つのも好きなんですが」

めぐり「あはは……私、出しゃばってるように見えたかな?」

八幡「あ、いや、先輩は全然! すいません、そういう意味じゃなかったんですけど……」

めぐり「へへ~、冗談だよ!」

八幡「は、はあ……」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:14:13 ID:KGebGyjO0

めぐり「でも、そっか~。……君は雪ノ下さんのことよくわかってるんだね?」

八幡「……えっと、部活が同じなんで。ま、多少は……」

めぐり「へぇ~、雪ノ下さんも奉仕部なんだー」

八幡「はあ……。ああ、と……じゃあ、そろそろ」

めぐり「君と雪ノ下さんって、付き合ってたりする?」

八幡「……はぁ? ちょっ、何言ってるんすか?」

めぐり「文実で話題になってたよ~、君と雪ノ下さんが仲いいって」

八幡(この人、俺の名前まだ覚えてないのかな……)


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:17:12 ID:KGebGyjO0

八幡「いや、だからそれは部活が一緒なんで、少しは気心が知れてないこともないと言うか……とにかく違いますよ」

めぐり「ふ~ん。でも雪ノ下さんって私たちはもちろん、はるさんや葉山くんと居るときも怖い顔してたのに、君にだけは笑ってたよね」

八幡「……それは俺をからかって遊んでるだけですよ。友好のしるしじゃなくて、本来の攻撃的な意味の笑顔なんです」

めぐり「え? 笑顔にそんな意味あるの?」

八幡「あ、いや……」

めぐり「……でも、それもやっぱり気を許してないと出来ないことだよね」

八幡「はあ……」

八幡(雪ノ下が気を許す、ね……イメージ出来ねぇな)


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:20:50 ID:KGebGyjO0

八幡「……まぁ、ともかく俺とあいつは付き合うとかそういうのじゃまったくないんで。それじゃあこの辺で」

めぐり「でも、比企谷くんは文実でもちゃんと雪ノ下さんのこと助けてあげてたよね」

八幡「……はい?」

めぐり「あのとき一回も休まず参加してた人って、生徒会役員除くとほとんどいないんだよ? 雪ノ下さんすら一回休んじゃったしね」

八幡「はあ……。いや、でもそれは休まないほうが普通ですよね?」

八幡「それに……俺、ぼっちなんで。人と確認しあえたり出来ない分、かえってサボるのハードル高かったりするんすよ」

めぐり「無断欠席も増えてたのに?」

八幡「……いつの間にか、かなりの仕事任されてましたからね。責任感じちゃうと、やっぱりサボりづらいですよ」

めぐり「あはは、やっぱり根は真面目なんだねー」

八幡「はあ……」


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:24:00 ID:KGebGyjO0

八幡(絶対違うと思うけど……現実としてあのときの俺は社畜根性丸出しで働いてたからな)

八幡(やはり、これがA型の血の運命(さだめ)なのか……)

めぐり「雪ノ下さんやはるさんの働きは目覚しかったけど、君も居なかったらあそこは回ってなかったよ。改めてお礼を言わせて欲しいな」

八幡「……先輩こそ、本当はあそこまで関わるはずじゃなかったんじゃないですか。受験勉強しなくちゃいけなかったでしょう?」

八幡「俺は自分の仕事をやってただけなんで、褒められるべきは先輩のほうだと思いますよ」

めぐり「素直じゃないなー。確かに私や、他に頑張ってくれた3年生もいたけどね」

めぐり「……でも、比企谷くんの頑張りはそれだけじゃないんじゃないかな?」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:27:06 ID:KGebGyjO0

八幡「……はい? なんのことすか?」

めぐり「……あのスローガン決めのときの君の発言が、結果として文実をまとめたのはただの偶然?」

八幡「…………」

めぐり「もしかして比企谷くんは、限界だった雪ノ下さんのため、みんなに発破をかけようとあんなこと言ったんじゃないかな?」

八幡「……」

めぐり「相模さんに酷い事を言ったのも、サボってた彼女が最後まで雪ノ下さんに迷惑かけるのが許せなかったからなんじゃない?」

めぐり「違う?」

八幡「……」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:30:20 ID:KGebGyjO0

八幡「『大した推理だ、君は小説家にでもなったほうがいいんじゃないか』」

めぐり「あはっ、犯人の台詞だー。正解だったかな?」

八幡「いや、すいません冗談です。……どうしてそんなこと思ったんですか?」

めぐり「ん?」

八幡「いや……普通に考えたら、ただの自己中で周りのこと考えられない奴じゃないですか」

八幡「どうして俺が誰かのためにとか、そんなこと考えたのかと……」

めぐり「うーんとねぇ……あの後、はるさんとお話ししたんだ」

八幡「雪ノ下さんと? 文化祭終わった後っすか?」

めぐり「うん。そのときに、『比企谷くんのことどう思う?』って聞かれたの」

八幡「あの人……」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:33:24 ID:KGebGyjO0

めぐり「私は思ってたこと答えたんだけど、はるさんは『もっとよく考えてみな』って」

めぐり「……はるさんって誰とでも仲良くしてるようだけど、本当に最低の人はそこまで気にかけたりしないからね」

八幡「……そりゃ、雪ノ下さんの買いかぶりですよ。大したことはしてないんで」

めぐり「じゃあ、やっぱり何か考えがあってあんな発言したってことは認めるんだね?」

八幡「…………まあ」

めぐり「正解、教えてもらえないのかな……?」

八幡「じ、自分がやったことのネタバラシしなくちゃいけないんですか……?」


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:36:01 ID:KGebGyjO0

めぐり「ダメ……?」

八幡「うっ……超恥ずかしいんですけど」

めぐり「お願い」

八幡「……特に面白い話じゃないですよ」

めぐり「うん、それでもいい。……君のこと、誤解したままなのは嫌なんだ」

八幡「…………」

八幡(……解ける誤解もあるのかな)


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:39:37 ID:KGebGyjO0

八幡「……スローガン決めのときのは、発破をかけるとかじゃないんです。俺なんかにそんなことされても、普通はみんな流します」

八幡「……俺に悪感情を集めるのが狙いでした。グダグダ文句言って、みんな頑張ってるのをぶち壊してるのは俺だと」

八幡「俺なんかと一緒にされたくない、もしくはこんな奴がいるんじゃ文実やばいじゃないかと思われれば成功でした」

八幡「でも本当に文実が機能し出したのは、雪ノ下がちゃんとリーダーシップを発揮できたからですよ」

八幡「あいつがあそこで全員参加を承諾させられたから、みんなちゃんと働くようになったんですから」

八幡「……屋上で相模に言ったことも、あいつが憎かったからとかじゃないっすよ。あのときは本当に時間がなかったんで……」

八幡「あいつの友達や葉山がやってたような、優しい言葉で説得するだけじゃ間に合わなかったんです」

八幡「怒らせるかなんかして……とにかくあの場から動かさなきゃいけませんでした」

八幡「けど俺が相模を攻撃するだけじゃ、そのまま喧嘩になったり、逆に態度を硬化させて動かなくなる可能性もありました」

八幡「……葉山が居なかったら、俺だけじゃどうにもならなかったですよ」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:43:16 ID:KGebGyjO0

めぐり「…………」

八幡「……俺がやったことなんてそんなもんですよ。きっかけ作り、方向転換ってとこですかね」

めぐり「……でも、そのために君は、それまでやってきたことも忘れられて、文実の……学校中の憎まれ者になったんだよ?」

八幡「……元からぼっちなんで。大した違いはありませんでしたよ」

八幡(……家で泣いたけどね、ちょっとだけ)

めぐり「なんだろうね……私利私欲を捨てて働くのが滅私奉公だけど、君はマイナスまで拾ってたんだね」

八幡「ぼっちはマイナスを集めやすいってだけですよ」

八幡「……俺もこの文化祭は成功させたかったんです。最大多数の最大幸福ってやつなんじゃないっすかね」

めぐり「それで誰かが犠牲になるんじゃ、そんなの成功じゃないよ……」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:46:26 ID:KGebGyjO0

八幡「……まぁ、もう終わったことっすから。それじゃあ俺、部活あるんで。失礼します」

めぐり「……比企谷くんはさ、子どもにだけいいもの食べさせて、自分は適当なもの食べてる親ってどう思う?」

八幡「……はあ? いや、よくわかんないっすけど……うちは両親共働きで、妹が料理してるんで」

めぐり「そっか。じゃあ、もし妹さんが比企谷くんの分はちゃんと作って、自分は出来合いのもので済ませてたらどう思う?」

八幡「……想像しにくいですけど、同じの食べればいいのにって思うんじゃないすかね」

めぐり「うん、そう。そういう家の子は将来内向的になったり、逆にぐれちゃったりすることがあるんだって」

八幡「……何が言いたいんですか?」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:48:51 ID:KGebGyjO0

めぐり「あはは……、わかりづらい例えだったね」

めぐり「私が言いたいのは、みんな自分の大事な人には自分を犠牲にするような真似はしないでほしいと思うってこと」

めぐり「自分の大事な人が辛い目にあうのを見るのは、見るほうも辛いからね……」

八幡「……そうすか。でも、それなら尚更、誰かが犠牲にならなくちゃならないことは、ぼっちが引き受けるべきですね」

めぐり「……そう。そうなのかもね……本当に一人ならね」

八幡「…………」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:51:14 ID:KGebGyjO0

めぐり「……うん。色々答えてくれてありがとね。君のこと少しわかったような気がするよ」

めぐり「……それじゃあ、部活頑張ってね。ばいばい」

八幡「……お疲れ様です」

カト カト カト カト カト カト…

八幡「…………」

カツ カツ カツ カツ …


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:54:37 ID:KGebGyjO0

ガララッ

八幡「……うぃーす」

結衣「あ、ヒッキーおそーい!」

雪乃「こんにちは。何かあったの?」

八幡「ん、ちょっとな。別に誰も来なかったんだろ?」ガララ

雪乃「ええ。私たちはあなたを待っていたのよ」

八幡「はぁ? なんだ、なんかあんのか?」

結衣「ゆきのんがね、おやつ作ってきてくれたんだって~!」

八幡「えっ、雪ノ下が?」


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/21 23:57:15 ID:KGebGyjO0

雪乃「え、ええ、そうよ。何か文句でも?」

八幡「いや……珍しい、ってかお前がそんな事するの初めてだから」

雪乃「た、大したことではないわ。マドレーヌだもの。誰でも簡単に作れるお菓子よ」

八幡「ああ……由比ヶ浜以外にはな」

結衣「なにぃ!?」

雪乃「そうね、訂正するわ」

結衣「ゆきのんまで!? うぅ……あたしだって、あのときよりはマシになってきてるんだけどな……」


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/22 00:00:01 ID:ng1moHcZ0

八幡「ちなみに俺の分もあるんですかね……?」

雪乃「あるに決まっているでしょう? なんのためにあなたを待っていたと思っているの?」カトッ

八幡「いや、二人で食べてるところを見せつけるためかと……」

雪乃「そんな意地の悪いことしないわ……」

結衣「わあ、ゆきのんこれすごいね! 普通に売ってるやつみたいに貝の形になってる!」

雪乃「それは特に難しいことではないわ、そういう型で作るだけだもの。……お湯も沸いたようね」

八幡「ポットなんて持ってきたのか?」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/22 00:02:27 ID:ng1moHcZ0

雪乃「ええ。そろそろ寒くなってきたし、部室でも温かいものを飲みたいと思って」トットットットッ…

雪乃「はい、比企谷くん」

八幡「ん、さんきゅ……」

雪乃「はい、由比ヶ浜さん」

結衣「ありがとー! それじゃあ、いただきまーすっ!」

八幡「……いただきます」

雪乃「ええ、召し上がれ」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/22 00:05:13 ID:ng1moHcZ0

八幡(雪ノ下が笑っている。由比ヶ浜もいつもより楽しそうで……文化祭前の雰囲気とは大違いだ)

八幡(……俺はこいつらを助けられたのかな。いや、それはおこがましい……人は一人で助かるだけって誰かが言ってたな)

八幡(雪ノ下も由比ヶ浜もこの場所を大切に思っているから、今、こうしていられるんだ)

八幡(……じゃあ、それならば俺は、俺にとって奉仕部とこいつらは)

八幡(…………)

八幡「……ちゃんと、向き合わなくちゃな」

結衣「ん? ヒッキーなんか言った?」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/22 00:08:26 ID:ng1moHcZ0

八幡「……いや、こういうのもなんかいいなって」

結衣「えー、何それ? ヒッキー変なのー」

雪乃「比企谷くんが変なのはいつものことだけれど……今日はいつにも増して気持ちが悪いわね」

八幡「あ、あれ? おかしい、反応が予想と違う……そこは、はにかんで『えへへ、そうだね!』とか言うところじゃないの?」

結衣「何それ、キモ……だってヒッキーだし」

雪乃「比企谷くんですものね」

八幡「へいへい、悪かったな……」



八幡(……今は、このままでいいよな)


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/06/22 00:09:22 ID:ng1moHcZ0

おわり
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1371823585/

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